ニーム…食品としての効果
まさにミラクル!万病に効く薬木!?
ニームと聞いて、樹木の名前とわかる人はなかなかいないかも。ニームは、インドやパキスタン、バングラディシュなど南アジア一帯に生育する熱帯常緑樹で、日本名ではインドセンダンと呼ばれます。
インドでは街路樹で見かけるほど身近な樹木ですが、一方、その驚くべき効能で「神聖なる木」「神秘の樹木」として大切にされてきました。ニームは20m以上の高木になり、白い花を咲かせ、オリーブに似た果実をつけます。枝も葉も、花も実も、樹木の全てに薬効があるとされ、古くから利用されてきました。ニーム利用の歴史は、何と4500年ほど遡り、インダス文明最大の遺跡モヘンジョダロからは集められたニームの葉がいくつも発見されています。中国には漢方があるように、インドにはアーユルヴェーダという民間療法があります。
アーユルヴェーダの医師たちは広大なインドの地を巡り、数多くの薬草を研究し治療に役立てましたが、中でもニームは心臓病、糖尿病、関節炎、皮膚病など、あらゆる病気に効く万能薬として、アーユルヴェーダの最も重要な[薬木]として位置づけています。
「村の薬局」「ミラクルニーム」と呼ばれわけ
ニームはインドのアーユルヴェーダでも、最も重要な薬木として利用されてきました。また、医者のいない地域でも、ニームの葉を茹でた湯で傷口を洗ったり、お腹の調子が悪い時は生葉を刻んでご飯に混ぜたり…と、庶民の間でも万能薬としてごく普通に使われています。
インドなどでは、常備薬として大抵の家庭に置かれています。そんなことからニームは「村の薬局」と呼ばれているそうです。1本のニームの木は、様々な薬を提供してくれる薬局のようなものなんですね(日本でアロエを「医者要らず」と呼ぶのとちょっと似てる!? )。でも、このニーム、単なる言い伝えや迷信ではありません。その驚くべき効能は、欧米などでもようやく注目されるようになり、研究が進むにつれ、ニームには様々な活性成分が含まれていることがわかりました。
下表はその主な成分と効能ですが、これを見ただけでも、万能薬と言われる所以がわかりますよね。そして、ニームはその効能の多さから、世界的にも「ミラクルニーム」と称されるようになったのです。
イナゴは嫌い、偉人は愛したニーム
長い歴史を持つニームだけに、様々な逸話があります。中でもヨーロッパでの研究が始まったきっかけとされるのが、55年前、ドイツの昆虫学者が目撃したある光景です。スーダンでイナゴの大襲来があり、あらゆる植物が食べ尽くされたにも関わらず、ニームだけは元気に残っていたのです!ニームは枝も葉もすべてに強烈な苦味があります。
「良薬口に苦し」ということで、人間なら我慢できますが、虫にとっては食べるどころか避けたい存在なのかもしれません。
また、神聖なる木を表すこんな逸話も…。釈迦が亡くなった時、弟子たちはニームの葉を棺に入れたそうです。さらに、ガンジーはニーム茶を愛飲し、ニームを入れた棺で送られました。ちなみに、ニームの日本名はインドセンダンですが、日本にも分布するセンダンとは別物。ニームは常緑ですがセンダンは落葉樹。
下イラストのように見た目も違います。しかも、ニームはどの部分も安全ですが、センダンは毒性が強いので、くれぐれもお茶にして飲むなどしないようにしましょう。

